グレッグイーガン 「しあわせの理由」 を読み終わった

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

グレッグイーガンの「しあわせの理由」を読み終えた。とはいっても途中の一編(イコン(icon - 聖像)を探すやつ)はなんだか退屈で飛ばしたけど。

構成としてはSFの短編小説がいくつか入っています。本の題名にもある「しあわせの理由」は本書最後に掲載されている短編小説のこと。

特に内容も難しくなく(ディアスポラ(isbn:9784150115319)よりはやさしい)、楽しいSF小説でした。

未来への考え漏れ

グレッグイーガンもそうなのですが、未来に対するかなり現実的な考察をしているSF小説というのは、私からすれば「未来への考え漏れがあるのでは?」と思わずにいられません。
たとえば、昔書いた人のSF小説なんてのはインターネットや携帯電話に対する見識が欠けていたり、コンピュータのインタフェースがナンセンスだったりします。仕方がないことですが、「ああ…、これはリアルじゃない…」と考えてしまいますね。
私がグレッグイーガン小説に考える、それは「最低限生物学的にでも発展した未来では想像もできない頭のいい人間だらけである」という仮定がすっぽり抜けているかなあ、というところ。あるいは「コンピュータなど成熟した未来では人間が一切何かする必要すらない」というところかなあ。
まあ、他にもいろいろ思う点はあるわけでして。

でも、仕方がないかなあ。これはこれで面白いし、そんなこといったら一切SFできないしね。
それにグレッグイーガンは未来についてかなりいい考察をしていると思うのだ。陳腐な萬話になっていないのがいい。「ここにある!」っていう未来が感じられる。

私が想像する近未来はこれだ!

  • 人類が働く必要がない
    • 研究の必要なし。研究があるとすればコンピュータの推論を待つぐらい。
      • 思考するコンピュータが思考するコンピュータを研究し、そこから一気に科学が進展すると思われる。
    • 労働の必要なし。労働なんてコンピュータがやればいいんですよ。
    • 芸術創作の必要なし。絵なんてコンピュータが描けばいいんですよ。
    • 勉強の必要なし。勉強?知識なんて意味あるんですか?

Quantum Soccer

ちなみに作中に出てくる量子サッカーなる謎ゲームwwwは作者サイトでプレイできます。